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EC業界における生成AI活用事例と注意点

通販サイトやオンラインモールなどのECビジネスにおいて、生成AIを活用してみたいとお考えの事業者の皆様は、次のようなお悩みや課題があるのではないでしょうか。

「生成AIとは、そもそも何か?」
「EC業界において、生成AIはどのように役立てることができるのか?」
「生成AIを使うには、どれくらいのコストがかかるのか?」
「生成AIにはリスクもあると聞くが、どのような点に注意すれば良いのか? 」
「自社のECビジネスにおいて、生成AIを安全に活用するには、どうすれば良いのか?」

この記事では、EC業界において、生成AIを活用したいとお考えの事業者の方々に向けて、生成AIに関する基礎知識と、EC業界における具体的な活用方法の例、活用する際の注意点について、EC業界に精通した弁護士が詳しく解説します。

生成AIに関する基礎知識

T社長
T社長
先生!わが社のECサイトの売上増加、サイト運用やマーケティング業務の効率アップのため、最近トレンドになっている生成AIを導入してみたいと思っているのですが、分からないことが多くて困っています。生成AIを使うと何ができるのでしょうか?また、注意点はありますか?
なるほど。今日は生成AIについての相談ですね。まず初めに、生成AIとは何かについて、少し詳しく説明しますね。
小野弁護士
小野弁護士

生成AIとは?

生成AIとは、人工知能(AI)の一分野であり、新しいデータを生成する技術を指します。この技術を利用することで、テキスト、画像、デザイン、音楽など、まだ存在しないコンテンツを創り出すことができます。特に、言語生成AIと画像生成AIが注目されており、自然言語処理(NLP)やコンピュータビジョンの進歩により、従来の技術と比較して、より自然な文章やリアルな画像を生成することが可能になっています。生成AIに関する基礎知識を理解することは、AI技術の可能性を最大限に活用する第一歩です。

生成AIは、他のAI技術とは根本的に異なる働きをします。一般的なAIや機械学習モデルは、入力データに基づいて分類や予測を行うことが主な目的ですが、生成AIは、新しいデータを「生成」します。例えば、文書生成AIは与えられたテキスト情報を基に、新たな文章を作り出します。これは従来型のAIが有する「解析する能力」に加え、創造的な「生成する能力」を持ち合わせていることを意味しています。

生成AIの技術基盤は、ディープラーニングや機械学習にあります。具体的には、大量のデータからパターンを学習し、それらを基に新しいデータを生成することができるネットワークが用いられます。例えば、言語生成AIでは、ニュース記事や小説などの膨大なテキストデータから学習を行い、それらの知識を基に新たな文章を生成します。画像生成AIの場合も同様に、多くの画像データを学習した結果として、新たな画像を生成する能力を持ちます。ChatGPTや画像生成AIのStable Diffusionなどは、この原理を利用して高度な生成能力を実現しています。

生成AIの活用場面

生成AIは、特にビジネス分野で広く利用されています。とりわけ、コミュニケーションを効率化するチャットボットや自動翻訳システム、顧客からの購入の前後の問い合わせに対応するAIアシスタントなどがECの市場における戦略として注目されています。これらのシステムは、従業員の時間を節約し、人間が行うには時間がかかりすぎる作業を迅速にこなします。また、生成AIを使ってマーケティングコンテンツやレポートの草稿を作成することも可能で、創造的なプロセスを支援し、生産性を大幅に向上させることができます。

芸術の分野では、生成AIを使って、絵画、音楽、文学作品など新しい芸術作品を作り出すことができます。例えば、画像生成AIは画家のスタイルを模倣して新たな芸術作品を生成することが可能です。また、音楽生成AIは、過去の楽曲データから新しいメロディやハーモニーを作り出し、作曲家やミュージシャンの創造性をサポートしています。これらの技術は、画家や演奏者などの芸術家たちに新たな表現手段を提供し、創作のプロセスに革命をもたらしています。

その他、教育分野では、オーダーメイドの学習教材を生成することで、学生一人ひとりの理解度や興味に合わせたカリキュラムを提供することが可能です。医療分野では、患者の症状や病歴から最適な治療法を提案するAIシステムが開発されており、診断の正確性を向上させることが期待されています。

代表的な生成AI

生成AIは、様々な分野で目覚ましい開発が進んでおり、プログラムやツールとして多数が存在していますが、現在、前述したビジネスや芸術、教育、医療などの現場で多く使われているのは、下記のような生成AIです。

①ChatGPT
OpenAIが開発し、世界中で最も多くのユーザーに使われている生成AIツールです。特に、自然な対話ができる会話型AIとして広く普及しており、大規模なデータセット(特定の目的に使用するために収集・整理されたデータの集まり)で学習されているため、多岐にわたる知識を持ち、幅広いトピックについての情報提供が可能です。

②Copilot
Microsoft×OpenAIが実装する生成AIアシスタントです。OpenAIのGPT-4のアーキテクチャ(構造や設計)を基に、Microsoftが開発しました。このコラボレーションにより、Copilotは高い会話能力に加え、データ分析、プロジェクト管理、レポート作成などの機能も持ち、ビジネスシーンでの効率的な作業のサポートが可能となりました。

③Gemini
マルチモーダル機能(複数の形式(モダリティ)のデータを同時に処理し、理解する能力のこと)を備え、「GPTを超える」と言われているGoogleの対話型生成AIです。大量のデータを迅速に処理できるため、特にデータ検索や分析が得意であり、それに基づいて高精度な情報を提供することができます。

EC業界において生成AIが活用できる事例

T社長
T社長
生成AIとは何かについては理解できた気がします!では実際に、EC業界ではどんなことに使われているのでしょうか?
EC業界でも生成AIの活躍の場面は多々ありますね。現在の主な活用事例について、以下で説明していきますね。
小野弁護士
小野弁護士

広告(文章・画像)の作成

ECサイトで利用するためのバナー広告、商品説明用キャッチコピーなどの文章や画像も、生成AIを利用すれば短時間で作成することができます。大量に商品を扱う場合、一つ一つ手作業で、文章とそれに合った画像の作成を行うことは、従業員にとって大変な負担ですので、短時間で大量に作成できれば、広告の効率と効果を大幅に向上できるでしょう。

商品紹介文章の自動生成

生成AIは、商品の説明文や魅力を伝えるコラムなどのコンテンツ文章作成、校正などに利用できます。文章作成と校正を手作業で行うことは、かなりの時間と労力を要する作業ですが、生成AIを活用することで、比べ物にならない速さで作業を完了することができます。さらにスピードだけでなく、生成AIは、商品の特徴やそれまでのレビューをもとに、消費者の購買意欲を高める的確で正確な商品紹介文章を生成することができます。

自社商品のレビュー解析

生成AIは、自社商品のレビューを解析することにも活用できます。顧客のフィードバックを自動的に収集し、肯定的な評価と否定的な評価を分類した上で、顧客の満足度や改善点を明確にしてくれるため、商品の改善や新商品開発の参考とすることができるでしょう。生成AIによって、レビューを迅速かつ的確に解析することで、顧客の声を効率的に活かし、商品やサービスの体験の質を向上させることができます。

その他

生成AIは、上記以外にも多くの場面で活用されています。例えば、チャットボットとして顧客サポートを提供し、顧客の質問に対して迅速かつ的確に回答することができます。また、在庫管理の最適化やパーソナライズされたおすすめ商品の紹介などにも利用されています。生成AIは、EC業界における様々な業務を効率化し、顧客満足度を向上させるための強力なツールとなっています。

▶︎参考情報:生成AIの活用方法と法律上の注意点については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
ECサイト運営で知っておきたいAIの活用方法と法律とは?

EC業界における生成AI活用時の注意点

T社長
T社長
おぉ~わが社でも生成AIが使えそうな場面がたくさんありますね。上手く使えれば、とても助かりそうです!でも、良いことばかりでなく、気を付けないといけないこともありますよね?
おっしゃるとおりです。生成AIは、使い方を誤ると思わぬトラブルに発展するリスクがあります。生成AIを業務に活用される場合の注意点について、以下4点にまとめてご説明します。
小野弁護士
小野弁護士

機密情報や個人情報の取扱い

生成AIを利用する際は、自社や取引先などの機密情報を入力しないようにすることが、とても重要です。特に、自社専用に提供されている有料の生成AIではなく、無料で利用できる生成AIを利用する際には、機械学習の設定をオフにしていたとしても、機密情報は入力しないことをお勧めします。自社の未公開の新製品の情報や極秘のアイディア、取引先の機密情報などを入力してしまうと、それが別のユーザーへの生成AIの回答として出力されてしまうリスクがあります。取引先と秘密保持契約を締結している場合、貴社が秘密保持義務違反に問われかねません

また、顧客や従業員等の個人情報を生成AIに入力しないようにすることも大切です。個人情報保護法により、個人情報を生成AIに入力して処理する場合には、個人情報の利用目的としてできる限り目的を特定して、本人に通知または公表しておく必要があります。もし、貴社のプライバシーポリシー等で生成AIへの入力等を利用目的に定めていない場合は、利用することができません。また、入力した個人情報が生成AIサービス事業者に共有される場合には、個人情報の第三者提供にあたるため、原則として本人の同意が必要となる点にも注意が必要です。さらに、個人情報についても、前述の機密情報の場合と同様に生成AIによる漏えいのリスクがあるため、基本的には入力しないとすることが良いでしょう。

広告内容の人的チェック

生成AIを自社商品の広告作成に利用する場合は、人間による広告内容の最終チェックを忘れないようにしましょう。生成AIは、目覚ましい進化を続けていますが、もちろん完全ではなく、生成AIによる生成物や回答は、「ハルシネーション」(誤った情報の生成)のリスクをはらんでいます。

EC事業者の方々は、生成AIによるアウトプットが、景品表示法や薬機法、健康増進法などの自社のビジネスに関係する法令に抵触する内容ではないかを注意深く確認する必要があります。これらの法律では、虚偽や誇大な表示等をすることを禁じており、抵触してしまった場合は、消費者庁や都道府県による措置命令の対象となり、企業名が公表されてしまう可能性があります。生成AIが作成した広告であるということは、責任を逃れる理由にはならないでしょう

生成AIを広告作成に利用する場合は、自社商品の関係法令について正しい知識を持ち、生成AIが出力したコンテンツは必ず人の目で確認することが大切です。さらには、より正確な情報を生成させるため、複数のAIツールを活用することもお勧めします。広告内容の法的チェックについては、専門的な知識が必要となる場合も多いため、必要に応じて、弁護士などの法律専門家に確認を依頼されることをお勧めします

「ハルシネーション」
ハルシネーションとは、英語で「幻覚」、「幻影」を意味し、生成AIが誤った情報を、もっともらしく正しい情報のように生成してしまうことを指します。まるでAIが幻覚を見ているような様子であることから、ハルシネーションと呼ばれています。

ハルシネーションが起きる原因としては、生成AIの学習に使われたデータの偏りや不足、曖昧な質問による生成AIの解釈の誤り、生成AIモデルの限界などが挙げられますが、ハルシネーションの発生を完全に防ぐことは現時点では難しいでしょう。しかし、生成AIのモデルの性能向上とともに、ハルシネーションの問題は今後改善されていくと考えられています。

ハルシネーションを防ぐためには、できるだけ明確かつ具体的に質問すること、生成AIが出力した情報を鵜呑みにせず、必ず複数の情報源で確認をすることなどが考えられます。生成AIは非常に便利で有能なツールですが、ハルシネーションのリスクを理解し、過度な期待をかけないで安全かつ適切に活用することを心がけましょう。

利用する生成AIの選択における基盤モデルや規約、コストの確認

前述のように生成AIといってもいくつかの種類があり、自社で利用しようとする生成AIをどれにするか決定するにあたっては、基盤モデルや規約、コストなどの面から慎重に判断する必要があります。

基盤モデルとは、大規模なデータセットで事前に学習・トレーニングされた汎用的な大規模AIモデルのことです。どのような学習データをインプット・再学習したかによって基盤モデルの性質・機能も多種多様です。生成AIはゼロから構築されたのではなく、基盤モデルを出発点として、新しいアプリケーションをより強化する機械学習モデルとして開発されています。自社が生成AIに最も求めているのはどの分野の機能であるのか、それにはどの基盤モデルを用いた生成AIを選択すれば良いのか、という視点から選択されると良いでしょう。

規約やコストについては、まず利用する生成AIを、公開されている無料のものにするのか、法人契約を締結し有料のものにするのかを考える必要があります。規約については、入力したデータが機械学習に利用されるかどうか、オプトアウトは可能であるかどうか、という点に特に注意が必要です。

法人契約によって、自社専用のクローズドAIを利用する場合の費用は、生成AIの種類や機能、利用量によって異なります。一般的には、月額料金や使用量に応じた料金プランが提供されていますが、例えば、特定の生成AIのサービスでは、月額数万円から数百万円程度の費用がかかるとされており、かかるコストには大きな幅があるといえます。

生成AI利用における自社のガイドラインの策定

生成AIを有効活用するためには、その特性を理解し、適切なガイドラインに従うことが重要です。生成AIの技術は様々な可能性を秘めていますが、その利用に際しては、技術的課題や法的問題、さらには倫理的問題にも配慮が必要です。そのため生成AIを扱うための自社専用のガイドラインを策定し、明確な目的やルール等を設定することで、期待する成果や達成基準を設定しやすくなります。

自社の業務のどの部分を生成AIによる作業に置き換えられるのか、どのような課題・リスクがあるか、その課題・リスクをどうクリア・コントロールしていくのか、導入にあたって検討すべきことは多くありますが、ガイドラインを整備することで、従業員が共通認識を持ったうえで、自社の実務に沿って生成AIを適切に活用することができるようになります。ガイドラインを整備する際は、政府や業界団体による下記のようなガイドラインが参考になるでしょう。さらに、ガイドライン策定後においても、継続的な確認と改善を行い、ガイドラインを最新の情報に更新し続けることが大切になります

生成AI活用についてのお悩み、リスク、課題は、解決できます

T社長
T社長
今日はありがとうございました。教えていただいたポイントをしっかりと踏まえた上で、わが社のECビジネスへの生成AIの導入を積極的に検討したいと思います!
はい、応援しています。生成AIの技術は日々進化しており、新しいモデルやアルゴリズムの開発によって、より高品質なコンテンツ生成が可能となっています。生成AIの持つ無限の可能性を探究しながら、責任ある形での活用を実現させましょう!
小野弁護士
小野弁護士

この記事では、EC関連サービスの企業の皆さまが、自社のビジネスを加速するために、生成AIの活用を検討する場合に、直面すると思われるお悩み、リスク、課題について、ヒントになる基本的な知識をお伝えしました。

これらの情報を、皆さまの会社にうまくあてはめて、一つずつ実行していくことで、貴社のお悩みや課題が解決し、貴社のサービスへのユーザーや社会の信頼が大きく増え、ビジネスが成功する未来が実現すると信じています。

しかも、頼りになる専門家と一緒に、解決できます!

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、多くの企業様へのご支援を通じて、EC事業における生成AIの活用についての専門的な法律の課題を解決してきた実績があります。

「助ネコ」の株式会社アクアリーフ様、「CROSS MALL」の株式会社アイル様など、著名なECシステム企業が多数、当法律事務所の顧問契約サービスを利用されています。

企業の皆様は、ビジネスのリスクは何なのか、リスクが発生する可能性はどれくらいあるのか、リスクを無くしたり減らしたりする方法はないのか、結局会社としてどうすれば良いのか、どの方法が一番オススメなのか、そこまで踏み込んだアドバイスを、弁護士に求めています。当法律事務所は、できない理由を探すのではなく、できる方法を考えます。クライアントのビジネスを加速させるために、知恵を絞り、責任をもってアドバイスをします。多数のEC企業様が、当事務所の、オンラインを活用したスピード感のあるサービスを活用されています。
当事務所にご依頼いただくことで、
「生成AIの機能や、EC業界における生成AIの活用方法・可能性などについて、理解を深めることができる。」
「生成AIを業務に導入する際のコストや情報漏えいのリスクなど、注意すべき点について網羅することができる。」
「自社のECビジネスにおいて、生成AIを安全に活用するための具体的な課題が整理され、何に注意し、何を準備すべきかを把握して、万が一の際にも迅速に対応し、企業の信頼を守ることができる。」

このようなメリットがあります。

顧問先企業様からは、
「ECビジネスにおける生成AIやその利活用について、専門的な見地からアドバイスをもらえ、生成AIの自社への導入を前向きに検討できるようになった。」
「生成AI利用の際の機密情報や個人情報の取り扱いリスクや適切な対応策、法規制の見通しなどについてのアドバイスをもらい、社内のコンプライアンス体制を整備することができた。」
「生成AI活用に関する研修を通じて、従業員が生成AI利用のメリットやリスクなどを理解し、業務に活かしてもらえるようになった。」

このようなフィードバックをいただいております。

当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただきたく、「メールでスピード相談」をご提供しています。

初回の相談は無料です。24時間、全国対応で受付しています。

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※本稿の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

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WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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