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【弁護士解説】芸能人の写真を使いたい?著作権と肖像権を理解してECビジネスを進める方法 メールでスピード相談 

【弁護士解説】芸能人の写真を使いたい?著作権と肖像権を理解してECビジネスを進める方法

「ECサイトにおける芸能人の写真使用」について、EC企業の担当者の皆様は、次のようなお悩みや課題があるのではないでしょうか。

「自社のECサイト内で芸能人の写真を使用したいとき、どのようなことに気をつければいいか?」

「著作権や肖像権、聞いたことはあるが、具体的に何をしたらダメなのか知りたい。」

「ECビジネスをするにあたって、オリジナルTシャツを作成したい。芸能人の写真ではなく、芸能人のペットの写真なら無断で使用しても問題ないか?」

この記事では、ECサイトの運営における、サイト内での芸能人の写真使用について、著作権と肖像権上の注意点をEC専門の企業弁護士が解説します。

この記事の解説者
弁護士小野智博の写真
弁護士 小野 智博(おの ともひろ)
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

芸能人の写真を使用するときに注意したい権利

T社長
T社長

わが社はECサイトにてオリジナル雑貨の販売をしています。有難いことに芸能人やインフルエンサーが商品を購入し、着用画像をSNSにアップしたことにより、アクセス数・販売数が増えている状況です。

 

先日、従業員から「芸能人やインフルエンサーの着用画像を、サイトの商品画像やSNS広告に使用すれば、より大きな売り上げにつながるのではないか?」と提案がありました。芸能人の写真を使いたいときは許可は必要ですか?勝手に使用したらどのような問題がありますか?

なるほど。今日は芸能人の写真を使う際の、肖像権や著作権をはじめとする法的な注意点についてですね。まずは、芸能人の写真を使う際に留意したい権利について、わかりやすく解説します。

小野弁護士
小野弁護士

肖像権

肖像権とは、自分の顔や姿などを、本人の意思に反してみだりに撮影されたり、公表されたりしない利益を保護するものです。肖像権そのものを明確に定めた法律があるわけではありませんが、判例上、憲法第13条の趣旨などを背景として、人格的利益の一つとして法的保護が認められています。分かりやすくいえば、「自分の顔や姿を勝手に撮影されたり、利用されたりしないための権利」と考えるとよいでしょう。

注意したいのは、芸能人本人の写真をそのまま使用する場合だけが問題になるわけではないという点です。例えば、芸能人の写真を参考にしてイラスト化したり、パロディとして描いたりした場合であっても、その顔立ち、髪型、服装、ポーズなどから特定の芸能人であることが分かるのであれば、肖像に関する権利が問題となる可能性があります。そのため、「写真ではなくイラストだから自由に使える」と考えるのは適切ではありません。

ECサイトや商品の広告、SNSなどで芸能人の写真やイラストを使用しようとする場合には、まず、その画像から特定の芸能人を識別できるかを確認する必要があります。特に、その芸能人が画像の中心に大きく写っている場合や、その芸能人の知名度やイメージを利用して商品・サービスへの注目を集めようとしている場合には、権利侵害のリスクが高くなります。

著作権

著作権とは、思想または感情を創作的に表現したものを保護するための権利です。(著作権法第2条1項1号)著作権が認められるためには創作的表現であることが必要です。単なる事実やデータそのものに著作権は発生しません。たとえば、芸能人が貴社のオリジナルアクセサリーをテーブルに並べた写真を使用したいとき、構図やテーブルセッティングに個性があれば、当該写真は著作物とみなされ、著作権が認められる可能性が高いです。

また、著作権は登録を必要とせず、自動的に発生する点も特徴です。特許権などとは異なり、作品が創作された瞬間に権利が生まれるため、本人が意識していなくても保護の対象となります。そのため、インターネット上に公開されている芸能人の写真であっても、自由に使ってよいとは限りません。

デジタル社会の発展に伴い、知らないうちに他人の権利を侵害してしまうリスクが高まっています。一方で、自らの創作物が無断で利用される可能性も同様に存在します。著作権を正しく理解し、法的リスク、社会的信頼リスク、金銭的リスクを低減する取り組みが必要です。

プライバシー権

プライバシー権は、明文の規定があるわけではありませんが、私生活上の事実を公表されない利益が法的保護に値することが判例上明言され、確立された権利といえます。(「宴のあと事件」(東京地裁昭和39年9月28日判決)参照)

プライバシー権と肖像権は似ていますが、両者は保護の対象範囲が異なります。肖像権は容ぼう・姿態という外形的情報の無断利用が問題とし、プライバシー権は、氏名、住所、交友関係、病歴などの、広義での個人情報や私生活の内容を保護対象としています。たとえば、芸能人の顔写真の無断掲載は肖像権の問題、使用した芸能人の写真がプライベートな情報を含むような場合には、プライバシー権の侵害として評価される可能性があります。

パブリシティ権

芸能人の写真をビジネスで利用する場合には、肖像権だけでなく、「パブリシティ権」にも注意する必要があります。パブリシティ権とは、著名人の氏名や肖像などが持つ「人を引きつける力」、すなわち顧客吸引力という経済的価値を、本人が排他的に利用できる権利をいいます。

肖像権やプライバシー権が、本人の人格や私生活といった人格的利益を保護することを主な目的としているのに対し、パブリシティ権は、著名人の氏名や写真などが持つ商業的な価値を保護する点に特徴があります。例えば、人気のある芸能人の写真を商品広告に掲載すれば、その芸能人の知名度や人気によって消費者の関心を集め、商品の販売促進につながることがあります。このような「芸能人だからこそ生じる経済的価値」を保護するのがパブリシティ権です。

パブリシティ権についても、肖像権と同様に法律上の明文規定が設けられているわけではありません。しかし、最高裁平成24年2月2日判決、いわゆる「ピンク・レディー事件」において、パブリシティ権が法的に保護されることが明確に認められました。同判決では、著名人の氏名や肖像などには商品の販売などを促進する顧客吸引力があり、この顧客吸引力を排他的に利用する権利は、人格権に由来する権利として保護されると判断されています。

もっとも、芸能人の写真を許可なく使用したからといって、直ちにすべてのケースでパブリシティ権侵害になるわけではありません。重要なのは、その利用方法が、芸能人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力を利用することを主な目的としているかどうかです。

例えば、芸能人の写真そのものをポスターやブロマイドなど、独立して鑑賞の対象となる商品として販売する場合には、その芸能人の人気そのものが商品の価値となっているため、パブリシティ権が問題となりやすくなります。また、Tシャツや雑貨などの商品に芸能人の写真や肖像を掲載し、その芸能人の知名度によって他の商品との差別化を図る場合も同様です。

さらに、ECサイトの商品ページやバナー広告、SNS広告などに芸能人の写真を使用し、その知名度や人気によって消費者の注目を集めようとする場合にも注意が必要です。特に、本人や所属事務所などから許可を得ないまま広告に写真を掲載すると、芸能人の顧客吸引力を商品の販売促進に利用していると評価され、パブリシティ権侵害となる可能性があります。

近年では、芸能人だけでなく、SNS上で大きな影響力を持つインフルエンサーやクリエイターなど、個人そのものがブランドとして経済的価値を持つ場面が増えています。そのため、ECビジネスで著名人の写真や氏名、イラストなどを利用する場合には、「インターネット上に公開されているから使える」と考えるのではなく、その利用が本人の人気や知名度を商品の販売や広告に利用するものではないか、必要な許可を取得しているかを事前に確認することが重要です。

特に、著名人の写真を商品そのものとして利用する場合、商品に写真を付して販売上の差別化を図る場合、広告や販促物に写真を使用する場合には、パブリシティ権侵害のリスクを慎重に検討する必要があります。ECサイトやSNSでは画像を簡単に転載・加工できるからこそ、ビジネスで利用する際には、肖像権、著作権とあわせてパブリシティ権についても確認することが大切です。

▶︎参考情報:ECサイトの著作権については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・ECサイト・ウェブサイト・ホームページの著作権を知ろう!専門の弁護士が注意点を解説

 

 

無断使用による法的リスク

T社長
T社長

肖像権や著作権について少し理解が深まりました。基本的には芸能人から許可をもらって使用しないといけないということですよね

そのとおりです。芸能人の写真を使用する際、きちんとした手順を踏まずに無断使用した場合に負うリスクについて解説します。

小野弁護士
小野弁護士

法的措置

まずは、法的措置のリスクについてです。芸能人の写真には撮影者の著作権が認められる可能性があり、撮影者に無断でECサイトの広告として掲載した場合は著作権侵害となり得ます。

(複製権)著作権法第21条
「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」

(公衆送信権等)著作権法第23条1項
「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」

上記権利の侵害について著作権者は、差止請求(著作権法第112条)や損害賠償請求を行うことが可能です。また、被写体である芸能人の人格権に基づく肖像権侵害として差止めが認められる可能性もあります。差止請求が行われた場合、ECサイトの一時停止、該当商品の販売停止などが想定され、売上に多大な影響を及ぼすおそれがあります。

さらに、著作者は著作権侵害者に対して、著作権侵害行為を組成した物、侵害行為によって作成された物またはもっぱら侵害の行為に供された機械や器具の廃棄その他の侵害の停止・予防に必要な措置の請求(以下、「廃棄請求」)をすることが可能です。廃棄請求された際には、芸能人の写真を使用していたECサイトの削除、芸能人の写真をパロディしたグッズの在庫廃棄などが認められる可能性があります。

故意に著作権を侵害した場合には、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が課される可能性があります。(著作権法第119条)さらに、芸能人の写真を使用し、自社の商品があたかも公式グッズであるかのように消費者に誤認させた場合は、不正競争防止法上の混同惹起行為として、5年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金またはその両方が課される可能性があります(不正競争防止法第2条1項)(同法第21条3項1号)

損害賠償請求

次に、損害賠償のリスクです。著作権侵害については、著作権法第114条に基づいて、利用料相当額や逸失利益の推定が認められています。損害賠償を請求するために、多くの事実について立証が必要になりますが、その立証活動を著作権者が行うのは困難な場合も多く、損害額については法律で算定規定を設け、著作権者から侵害者に対する損害賠償請求のハードルを下げています。

さんこう

パブリシティ権侵害の場合には、著名人の持つ顧客吸引力の価値を基準として損害額が算定される傾向があり、使用した画像の芸能人の知名度に応じて高額化する可能性があります。また、肖像権やプライバシー権の侵害については、不法行為(民法第709条)に基づく慰謝料請求が認められ、精神的損害の評価が加わったり、これらの権利侵害が重複することにより、賠償額が想定よりも大きくなる可能性がある点に留意しましょう。

社会的信用低下

社会的信用の低下も、芸能人の写真の無断使用による大きなリスクです。無断使用が明らかになった場合、法的責任とは別に、企業や個人のコンプライアンス体制について消費者から厳しい目が向けられます。今日では、SNS等を通じて悪評が急激に拡散し、「この企業は権利意識が欠如していて応援できない」「不適切なコンテンツ利用をする企業から商品を買わない」「芸能人のファンとして無断使用をしている企業を糾弾しよう」といった評価が拡散されることで、ブランド価値や取引上の信頼関係、売上に大きなダメージを及ぼす可能性があります。

社会的信用の低下は法的リスクと比べると軽視されがちですが、実務上は法的リスクと同等、あるいはそれ以上に企業にダメージを与える要素です。このように、芸能人の写真の無断使用は、著作権法上の責任にとどまらず、人格権やパブリシティ権といった複数の法的利益を横断的に侵害する行為になる可能性があります。判例や関係法令に基づいてリスクを正確に特定し、適切な使用方法、使用手順を守ることが重要です。

 

写真使用の具体的ケース

T社長
T社長

法令順守はもちろん、社会・消費者から応援してもらえる形でビジネスを進めていきたいです。写真使用の可否や注意点について具体例はありますか?

もちろんです。当事務所によく寄せられる質問を基に、3つのケースに分けて具体的に解説します。

小野弁護士
小野弁護士

SNSに掲載されている写真を使用したい

芸能人の写真使用についての相談で、よくあるものが「SNSに掲載している写真は公開しているものなので使用しても問題ないか?」という質問です。「SNSに公開されている写真だから、自由に使っても平気だろう」と考える方は少なくありません。

しかし、この考えは間違いです。SNSに掲載済の写真でも、権利者(芸能人・芸能事務所など)の許可なく利用すると法的問題が生じる可能性があります。写真には撮影者の著作権が認められ、芸能人本人が投稿した写真でも、撮影者が著作権を有しているケースがあります。許可なく写真を保存し、自社サイトに使用した場合、著作権侵害となる可能性があります。

また、芸能人の写真には、肖像権やパブリシティ権が認められる可能性があります。自社商品や広告宣伝に芸能人の写真を使用した場合、消費者は「この商品はあの芸能人が推薦しているんだ」という印象を与え、芸能人が持つ顧客吸引力の無断使用として、パブリシティ権侵害が認められる可能性があります。

さらに、自宅での様子や、私生活に関する内容が含まれる写真を無断使用した場合、プライバシー権の侵害が問題となることもあります。また、無断使用によるリスクは前述した通り、民事上だけでなく、刑事上の責任を追及されるおそれがあります。

メディアに掲載されている写真を使用したい

なかには、「自社の商品を芸能人が雑誌やニュースサイト、Webメディアなどで紹介してくれた際の、インタビューページの写真を使用したい」という相談もあります。この場合「芸能人が自発的に紹介してくれたのだから、その写真を使用しても問題ないのでは?」と考える方もいらっしゃいます。しかし、メディアの掲載有無と、その写真が自由に利用できるかどうかは全く別の問題として考えないといけません。

メディアに掲載されている写真の著作権は、一般的にはカメラマンや写真の提供者が著作権を有しています。そのため、メディア掲載済みの芸能人の写真を使用するためには、原則として著作権者の許可が必要です。自社の商品が紹介された記事の内容を自社サイトで紹介する際には、当然に写真も一緒に掲載できるとは限りません。

著作権法には引用という例外規定が設けられています(著作権法第32条第1項)。公表された著作物は、公正な慣行に合致し、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内において、著作権者の許可なく利用することが認められています。

しかし、単に出典を記載するだけでは引用は認められません。実務において、①引用の必要性があること、②引用部分と自ら作成した部分との間に主従関係があること、③引用部分が明確に区別されていること、④出所が明示されていることが必要です。写真は文章と比較して、引用として認められる場面は限定的です。単に「メディアで自社商品が掲載され、そのことを紹介するために写真も掲載したい」という目的では、①や②の要件を満たさず、引用として認められない可能性が高いです。引用として写真使用が認められるのは、写真そのものを評論・解説するため、写真を使用する必要があるケースです。

実務上は引用として写真を転載するのではなく、掲載元の記事へリンクを設け、ユーザー自ら写真を見に行ってもらう方法が安全です。メディアに掲載された写真を使用する際には、利用する法的根拠があるかという視点を持つことが、著作権侵害を防ぐために重要なポイントです。

芸能人の写真を加工して使用したい

「芸能人(有名人)の写真を画像編集ソフトやAIにより、イラスト風に加工して利用すれば、元の写真とは別物として権利侵害にはなりませんか?」という質問も最近増えていますが、こういった考え方には注意が必要です。前述しましたが、芸能人の写真には撮影者が有する著作権があります。編集ソフトやAIでイラスト化するといった加工を行っても、元の写真を利用している以上、撮影者の著作権がなくなるわけではありません。加工した画像を使用する場合には、原則として著作権者の許可が必要です。

さらに、同一性保持権が認められています(著作権法第20条)。同一性保持権とは、著作者の意に反して作品を改変されない権利のことです。大幅加工・本来の意図と異なる形の利用を行うと、著作者人格権の侵害を主張される可能性があります。

一方で、加工の程度によって法的評価が変わるケースも存在します。加工後の写真では芸能人本人の識別ができない、加工前の写真独自の創作的表現も残っていない、こういった場合には個別具体的な検討を行いますが、実務上は、加工の有無ではなく、他人の写真を利用しているかという点から検討することが重要です。

海外アーティストの写真使用の注意点は?

海外アーティストや海外タレントの写真を使用する場合も、日本のアーティストと同様に著作権やパブリシティ権について注意が必要です。米国ではパブリシティ権(Right of Publicity)が各州の州法として制定されており、保護の範囲や要件が日本と異なります。日本の場合は判例によりパブリシティ権が保護されますが、米国の場合は州法や判例法によって保護されているのです。また、EU諸国ではプライバシー保護や肖像権的利益がより強く意識される傾向があるため、海外向けに写真を使用する場合には、複数の法域リスクが生じる可能性があります。

また、日本国内の芸能人写真の使用との実務上の違いは、出版社・写真提供会社・芸能事務所など、権利関係が比較的整理されていることが多く、ライセンス契約や使用許諾の仕組みも簡素といえます。一方、海外アーティストの写真は、撮影者・配信元・代理店が国をまたがって存在することもあり、権利関係の特定や許諾取得が複雑化しやすい特徴があります。

海外アーティストの写真利用は日本法の観点から違法性がないか検討することに加え、外国法も踏まえ、権利処理について日本法よりも厳格な観点から違法性・不当性がないかという二重の注意が必要です。国内外を問わず、公開されている画像であっても自由に利用できるわけではなく、利用目的と権利関係を確認することが重要です。特に商用利用の場合には、日本よりも厳格なパブリシティ保護基準が定められている可能性が高く、損害賠償額も過大になる可能性があるため、ライセンス確認を前提とした慎重な対応が求められます。

 

適法に芸能人の写真を使用する手順

T社長
T社長

芸能人の写真使用の注意点について、少し理解が深まりました。

それはよかったです。最後に適法に芸能人の写真を使用するための手順を3つのステップで解説します

小野弁護士
小野弁護士

権利者を確認する

芸能人の写真を適法に利用するための最初のステップは、写真の権利は誰にあるのか、権利を管理しているのは誰かを正確に特定することです。ここでの特定を誤ってしまうと、その後の利用許諾や引用判断が無意味になりかねません。
写真には通常、撮影者に著作権(著作権法第21条・23条)が発生するため、被写体が芸能人でも、著作権の主体が芸能人とは限らず、報道機関・写真エージェンシー・カメラマン本人・所属メディア企業などが権利者であるケースがあります。

芸能人の写真使用をする際には、写真の出典、クレジット表記、利用規約やライセンス表記の有無、ストックフォトサービス等の管理情報を確認するようにしましょう。

被写体である芸能人側にも、肖像権やパブリシティ権が存在しているため、著作権者と被写体の権利者が一致しない二重構造にも注意が必要です。理解せずに利用した場合、複数の権利者から同時に指摘を受ける可能性があります。

実務上重要なのは、誰に許可を取れば適法になるかを明確にすることです。ストックフォトであれば販売サイト、報道写真であれば新聞社や通信社、SNS投稿であれば投稿者本人、加えて二次利用が許されているかを確認しましょう。権利者の確認は単なる形式的作業ではなく、適法利用の前提条件となる重要なプロセスです。ここを曖昧にしたまま次のステップに進むことは、実務上最も避けるべきポイントといえます。

使用許可を得る

次のステップは、使用許可(ライセンス)を正しく取得することです。権利者を特定したあとは、その権利者からどの範囲で写真を利用できるのか合意することが必要になります。著作権法上、写真の無断利用は原則として著作権侵害となります(著作権法第21条・23条)。そのため、利用を適法に行うためには、著作権者からの許諾(ライセンス)が不可欠です。

ライセンスを得る際に重要なのは、許可の範囲を具体的に確認することです。利用目的は広告利用・記事掲載・私的利用のどれに当てはまるのか、利用媒体はWebサイト・自社サイト・紙媒体のどれに当てはまるのか、利用期間は無期限・期間限定かどうかにも注意が必要です。そのほかにも、トリミング・加工・AI編集などの改変が可能かどうか、再配布の禁止といった二次利用の制限を設けるかどうかなど、芸能人の写真を適切かつ効果的に使用するためにはここに挙げたポイントより多くの注意点があります。

これらの条件が曖昧なまま利用すると、許可は取っていたはずなのに範囲外だったというトラブルが生じやすくなるため、予定する使用態様を網羅できているか、きちんと確認することをおすすめします。

また、芸能人の写真の場合は、著作権者の許諾に加えて、被写体本人の同意も注意が必要です。実務上は、ストックフォトサービスや報道機関が提供する利用規約付ライセンスを通じて使用許可を得るのが一般的です。この場合、契約条件に従う限り、個別の著作権者と直接交渉する必要がないというメリットがあります。一方で、規約違反があれば即座に契約違反となるため、弁護士などの専門家に利用規約の事前確認を依頼することをおすすめします。

さらに、後述しますが、口頭での許可や曖昧な合意は後のトラブルにつながるため、書面や利用規約など、客観的に確認できる形での許諾を得ることが望ましいです。

ライセンス契約を締結する

最後に、権利者と使用許可についてライセンス契約を書面にて締結します。ストックフォトを使用する場合には、利用規約を確認し、自社の使用範囲と利用金額のバランスが取れているか、利用規約のなかに自社にとってリスクとなる文言はないかをチェックします。また、報道機関・写真エージェンシー・カメラマン本人・所属メディア企業などと契約する場合も、ストックフォトと同様に下記のチェックポイントを確認しつつ、交渉を行うことをおすすめします。

■契約の目的・利用目的の特定
利用目的が抽象的で明記されていない場合、広告利用・記事掲載・SNS投稿などの境界線があいまいで、後に契約外の利用として契約違反を主張されるリスクがあります。また、契約の目的は契約内容において疑義が生じた際、解釈の重要な基準となりますので、できる限り特定されることをおすすめします。

■利用媒体の特定
デジタル、紙媒体、広告、ウェブ記事などの利用態様を特定していないと、後から「その媒体での使用は想定していない」と主張され、争いになる可能性があります。自社がどのような場面で目的となる芸能人の写真を使用するのか、できる限り想像力をもって網羅できるようにしましょう。また、権利者によっては特定のSNSでの使用を嫌がるケースもあるため、SNSの名称を一覧にして列挙しておくことや、「SNS(種類を問わない)」といった形で網羅できるように規定しておくことをおすすめします。

■利用期間
自社の使用態様に合致した利用期間が設定されていることはもちろんですが、利用期間を理由に契約違反を主張されない工夫も重要です。一度ネットに出回った画像は、完全に消去することは難しいといえます。契約終了後も画像が残存し続けることで、意図せず契約違反となるケースがあります。「利用期間は契約締結日から●年間とする。ただし、期間終了後の削除義務については合理的範囲での努力義務とする。」と規定し、削除漏れのリスクに備えましょう。

■改変・加工の可否
画像編集を行った場合に、後々になって著作者人格権(同一性保持権)を主張され、使用を制限されることが内容、改変・加工の許諾、許諾する改変等の程度を明記しておくことをおすすめします。また、AIによる編集を想定する場合には、それが改変・加工に該当するか疑義が生じる可能性があるため、個別に明記しておくことをおすすめします。

■再使用許諾(サブライセンス)
第三者に写真を使用させる可能性がある場合には、再使用許諾をあらかじめ取っておくことも重要です。第三者からサブライセンス料を得ない場合で、外部委託先に写真データを渡すような場合でも、再使用許諾を得ていないことを理由に契約違反を主張される可能性があります。再使用許諾を認めていない場合でも、外部委託先への提供は除くように修正しましょう。

■肖像権・パブリシティ権についての表明保証
芸能人の肖像権・パブリシティ権については、著作権者の使用許諾だけでは足りず、芸能人に対する権利処理が別途必要になる場合があるため、肖像権やパブリシティ権を侵害していないということを表明し、保証してもらう条項を追加することがおすすめです。これにより、後々権利侵害を主張されたときに、自社による事前リサーチ+表明保証によって、故意や過失がないことを主張することができます。

■損害賠償・補償条項
権利侵害が発生した際に、どちらが責任を負うか不明確だと高額な損害賠償をめぐる紛争に発展する可能性があるため、前述した表明保証と併せて、権利侵害発生時の損害賠償の負担について明記しておくことをおすすめします。

 

芸能人の写真使用に関するお悩み、リスク、課題は解決できます

T社長
T社長

芸能人の写真を使用したくても具体的になにから始めればいいかわからなかったので、手順を教えていただいて少し整理できました。

それはよかったです。肖像権や著作権と聞くと慎重になってしまいますが、大切なのは適法・適切に手順を踏むということなので、わからないことはすぐに聞いてくださいね。

小野弁護士
小野弁護士

この記事では、ECサイトで芸能人の写真を使用したい場合に、直面すると思われるお悩み、リスク、課題について、ヒントになる基本的な知識をお伝えしました。

これらの情報を、皆さまの会社にうまくあてはめて、一つずつ実行していくことで、貴社のお悩みや課題が解決し、貴社のサービスへのユーザーや社会の信頼が大きく増え、ビジネスが成功する未来が実現すると信じています。

 

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このようなメリットがあります。

顧問先企業様からは、

「事業部がなんとなく分からないままにしている法的リスクについて、法律面・実務面、両方の視点で洗い出しを行っていただき、現場の知識やノウハウが底上げされたと感じる。」

「担当者が業務中に感じた疑問を気軽に質問することができ、従業員からは、担当者の不安と法務担当部署の負担が減ったと好評。」

「コンプライアンス面の不安を相談したとこと、知的財産権や契約締結の際の注意点について社内講習を実施していただけた。従業員から次回開催を要望する声も上がっている。」

このようなフィードバックをいただいております。

当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただきたく、「メールでスピード相談」をご提供しています。

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※本稿の記載内容は、2026年9月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

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