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ビジネスマッチングサイトのトラブルと運営企業の対応方法について

ビジネスマッチングサイトとは

ビジネスマッチングサイトとは、企業間をつなぐためのマッチングサイトです。BtoBの取引先や外注先を探す際によく利用されます。

ビジネスマッチングサイトを運営していると、トラブルが起こることがあります。よくあるトラブルは大きく、マッチングしたクライアント同士のトラブルと、運営者とサイト利用者のトラブルの2種類に分けられます。ここでは、そもそもビジネスマッチングサイトとはどのようなものなのか、どのようなトラブルがあるのか、トラブルが発生した際に運営者としてどのような対応をすればいいかについて解説していきます。

ビジネスマッチングサイトの仕組み

ビジネスマッチングサイトでよくある流れは、下記のとおりです。

料金体系に関しては、完全に無料のサイトもあれば、掲載する側に対して月額費用が発生するものや、掲載自体は無料で契約が決まった場合に取引金額の一定割合を支払う成果報酬型のものもあります。他にも、コンサルティングのような形で、サイト運営側がマッチングする企業を紹介するというものもあります。

マッチングサイト運営者と利用者の契約内容

ビジネスマッチングサイトでは、直接商品を販売するわけではなく、マッチングの機会を作るというサービスを提供しています。これは法律用語では、役務の提供と呼ばれます。このようなサービスを提供してその対価を受け取る契約には、委任・準委任、請負などが考えられます。

ビジネスマッチングサイトのビジネスモデルの種類

ビジネスマッチングサイトには、さまざまなビジネスモデルがあります。

広告による収入
広告収入は、サイト内にバナー広告やテキスト広告を表示させることで収入を得るビジネスモデルです。Google広告などの広告配信サービスから配信された広告を表示するケースや、オプションサービスの一部として利用企業をより目立たせるためのサイト内広告などがあります。

広告のメリットは、導入が簡単であることが挙げられます。広告で安定した収入が得られれば、マッチングサービス自体の収益化を考える必要がありません。しかし、広告収入だけでサイト運営をするには相当数のアクセスが必要であること、サイト内に外部広告を表示させることによりサイトのイメージがダウンしてしまうことなどがデメリットとして挙げられます。

サイト運営者と利用者のトラブル

ビジネスマッチングサイトを運営していると、トラブルが起こる可能性があります。ここでは、サイト運営者と利用者のトラブルについて解説します。

返金を要求される

サイト運営者と利用者間のトラブルとしてよくあるのが、利用者からの返金要求です。
下記のように、料金を支払ったのに期待した効果が見込めなかった場合、返金を要求されるケースが考えられます。

どのように対応するか

では、このようなトラブルにどのように対応すればいいのかというと、サイトがどのようなビジネスモデルを採用しているかによって変わってきます。
仲介料による課金の場合には、マッチングが成立した時点で料金が発生しているため、このようなトラブルにはつながりにくいといえます。ただし、マッチングが成立し取引が行われたにも関わらず、その取引に不満があるというケースもあります。これは利用者間の問題として、次章で解説します。

掲載料による課金の場合、委任・準委任にあたるため、サイトに掲載することによって料金が発生します。そのため、マッチングが成立しなかったことについて、補償する必要はありません。ただしマッチングが成立しないということは、サイトに掲載しても効果がなかったことを意味しており、そのような評判が広がってしまえばサイト自体の評価が下がってしまう可能性もあります。なぜマッチングが成立しなかったのか、サイト運営側として問題はなかったか、なぜこのようなクレームにつながってしまったのか、真摯に対応することが重要です。

ただし、マッチングを保証するような広告を掲載していたり、紹介件数を保証していたりする場合には、返金請求に対応しなければならないケースもあるため、注意が必要です。

利用者同士でトラブルがあった場合

ビジネスマッチングサイトを運営していると、サイトをきっかけにマッチングした利用者同士でトラブルに発展してしまうことがあります。そのような場合の対処について解説します。

運営者の法律的な立場

ビジネスマッチングサイトの利用者同士でトラブルがあった場合、法律的にはサイト運営者は原則として責任を負わない立場にあります。なぜなら、ビジネスマッチングサイト上でマッチングした利用者同士の契約は、その両者の間で成立しているからです。

サイト運営者が責任を負うケースもあるため注意

ただし、サイト運営者が利用者間トラブルの責任を負わなければならなくなるケースもあるため、注意が必要です。
具体的には、下記のように利用者間のトラブルであっても、運営者としての責任が問われる可能性もあります。

トラブルを防ぐための対策

では、ビジネスマッチングサイト運営者がトラブルを防ぐためにどのような対策をとるべきか、解説します。

サイト内に、利用者間トラブルには関与しない旨を記載する

サイト利用者が目にしやすい部分や、申込・契約する際に分かりやすい場所に、サイト運営者と登録されている企業が独立した関係にあることを明確に表示しておきます。例えば下記のようになります。

「当サイトに掲載されている企業情報は、当社とは独立して自己の責任の下業務をする者であり、特に明示している場合を除き、当社および関連会社が管理又は運営しているものではありません。」

トラブルにつながる利用者の登録を避ける

サイト内で、ルールを明確にしておき、利用ルールを守らない利用者の掲載を拒否できるようなシステムを構築しておく必要があります。具体的には、利用後に双方の評価をするシステムや、アンケートなどで利用者の評価を把握できるシステムがあります。
その他、利用にあたり企業の詳細情報を登録してもらい審査を行う方法や、登録するための条件を設けるといった方法もあります。

まとめ

ビジネスマッチングサイトを運営していれば、さまざまなトラブルが起こることが考えられます。このようなトラブルを防ぐためには、本稿で解説したウェブサイト上の表記をはじめ、利用規約・プライバシーポリシー・特定商取引法に基づく表記なども、しっかりと検討して準備する必要があります。どのような表記をしておくべきか、大きなトラブルが起こる前に弁護士に相談することをおすすめします。

※本稿の内容は、2021年3月現在の法令・情報等に基づいています。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」