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EC・通販サイトに記入されたレビューは広告などに二次利用できる?

通販サイトやオンラインモールなどのECサイトを運営する企業の担当者の皆様は、次のようなお悩みがあるのではないでしょうか。

「自社のECサイトで高評価を獲得しているレビューを広告に利用したいけど、勝手に使っていいのだろうか?」
「高評価のレビューを活用して集客力を高めるために、注意すべきポイントはあるのか?」
「レビューを広告利用できるように利用規約を変更したいけど、どういった書き方がいいか?」
「消費者とのトラブルを避けつつ、スピード感をもってECビジネスをしていくためにはどうしたらいいだろうか?」

この記事では、ECサイトを運営する事業者が、当該ECサイトの購入者によるレビューを広告などで二次利用する場合に、注意すべき著作権について解説します。

この記事の解説者
弁護士小野智博の写真
弁護士 小野 智博(おの ともひろ)
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

レビューを有効活用できればEC・通販サイトの評価が上がる?

T社長
T社長
わが社では、ECサイトで家具の通信販売事業を開始しました。サイトの利用者がまだ少ないため、高評価のレビューを利用して広告をし、集客力を高めたいと考えています。購入者のレビューを許可なく広告に使うことは可能でしょうか?
なるほど。今日はレビューの二次利用についてのご相談ですね。まずは、ECサイトにおけるレビューの効果について解説していきます。
小野弁護士
小野弁護士

 

EC・通販サイトでレビューの効果が大きいのは、実際にその商品を購入し、手に取った人の感想を読むことで、実際の商品をイメージできるからです。それだけでなく、評価の高いレビューが多ければ、安心してその商品を購入することができます。一方、レビューが少なかったりレビューの評価が低かったりすると、その商品に対する不安要素になってしまいます。このようにレビューは、EC・通販サイトで販売している商品の売れ行きを大きく左右するほどの影響力を秘めているのです。

EC・通販サイトの利用者がどのようにレビューを見ているかというと、レビューの内容だけでなく、点数や星の数による評価、投稿数、投稿の時期にまで及びます。レビューの点数や件数によって、EC・通販サイトで上位表示されるようになるといった効果も見込めます。

このように通常のレビューだけでも大きな影響が見込めますが、評価の高いレビューを有効活用することができれば、より販売促進効果が高まるのです。一つの方法として、トップページや商品ページの目立つところにレビューを表示させる方法があります。特に、商品ページの買い物かごの近くにレビューを表示させておけば、購入を迷っている利用者に対して積極的にアピールすることができます。

それ以外に、レビューを二次利用するという方法もあります。次項からはレビューの二次利用について、法律的に問題がないか、見ていきましょう。

EC・通販サイト運営者への許諾

T社長
T社長
利用者にとって、レビューは商品やサービスを見極める重要な要素の1つなんですね。是非とも広告などに活用していけるといいのですが。
レビューを広告などに二次利用して良いかどうかは、EC・通販会社に対してレビューの二次利用が許諾されているかどうかが重要になります。詳しく解説していきますね。
小野弁護士
小野弁護士

 

まず、ECサイトに利用者が書き込んだレビューは著作権法上の著作物に該当し、著作権が保護されると考えられます。また一般的に、著作物を複製・公衆送信等利用する行為は、権利者の許諾がない限り、著作権の侵害になってしまいます。(なお、本稿でいう二次利用は、著作物を本来の目的以外の目的で利用することについて、ビジネス上一般的に使用される用語であり、法律上は利用が正しい用語となります。)

つまり今回の場合でいうと、レビューを書いた利用者(著作権者)がEC・通販会社に対して、レビュー(著作物)の利用を許諾していない場合、原則として、EC・通販会社がレビューを複製・公衆送信等利用することは、著作権の侵害となりうるということです。

ただし、著作物の内容や利用方法によっては、明確に許諾がなくても、黙示の許諾が認められる場合(つまり、利用の許諾があったと認められ、著作権の侵害とならない場合)があります。

どのような著作物・利用方法であれば、黙示の許諾が認められ、著作権侵害にあたらないのでしょうか。以下にみていきましょう。

黙示の許諾が認められる場合

例えば、以下の条件のいずれかに当てはまる場合には、黙示の許諾が認められる可能性が高くなります。

このような利用のされ方は一般に想定内といえるため、黙示の同意が認められる可能性が高くなります。単にプリントアウトする行為に関しても、プリントアウトを禁止する文言等が入っていなければ、黙示の許諾が認められるでしょう。

では、レビューを広告などに二次利用する場合はどうでしょうか。

インターネット上にあるEC・通販サイトのレビューは、公衆がアクセス可能な場所に書き込みをしているという性質があります。つまり、レビューを書き込み投稿している時点で、同サイト上であれば、レビューが二次利用されることについては許諾があると評価できる場合があります。

この場合、黙示の許諾があると考えられる行為の範囲は、具体的には下記のような使用の態様が挙げられます。

ただし、内容によっては黙示の許諾が認められないこともあるため、使用の判断については専門家に相談することをお勧めします。

黙示の許諾がない場合

一方、EC・通販サイト上に投稿されたレビューを、そのサイト以外での場所で利用する場合には、通常は黙示の許諾も認められず、別途の許諾がなければ著作権の侵害になってしまいます。

例えば、社外に配布する広告等に利用するような場合は、黙示の許諾は認められないと考えられます。

他にも、新聞・雑誌などの出版物に掲載したり、CD・DVD等に複製し販売・頒布したり、動画や映画において使用する行為等は、書き込みをした者が予想している利用といえない行為に関しては、黙示の許諾は認められず、別途の許諾がなければ、著作権を侵害する行為となります。

ただし、利用規約にレビューの二次利用に関する内容を盛り込み、明確に許諾を得ておけば、上記のような二次利用が可能になる場合もあります。

著作権の複製権・公衆送信権とは?

著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法第2条)。口コミなどのレビューは言語の著作物に該当すると考えられます(著作権法第10条1項1号)。口コミが著作物としての要件を満たしている場合には、口コミを書いた(創作をした)時点で、口コミ投稿者に著作権が発生します。著作物を創作した人を著作者といいます。

著作権法には「著作権」という名称の権利は規定されておらず、複製、上演、演奏、公衆送信といったように利用形態ごとに権利が規定されています。購入者のレビューを二次利用する際に問題となる主な著作権には、複製権・公衆送信権が考えられます。以下、解説します。

・複製権
著作権法第21条には「著作者は、その著作物を複製する権利を占有する」と定められています。

「複製権」は、著作者に与えられた最も基本的な権利であり、全ての著作物が対象となります。手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、その方法を問わず、著作物を「形のある物に再製 する」(コピーする)ことに関する権利で、このような行為を行えば、著作者の複 製権が働きます。また、「生」の講演を録音、筆記したり、「生」の楽曲等を録音するような行為もこの複製権が働きます。
出典:「著作権テキスト」(文化庁)
(https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/index.html)

口コミをプリントアウトしたり、口コミを利用して広告画像を作ることが「複製」にあたると考えられます。

・公衆送信権
著作権法第23条には「著作者は、その著作物について、公衆送信を行う権利を有する」と規定されています。「公衆送信権」は、放送、有線放送、インターネット等、著作物を公衆向けに送信することに関する権利です。このような行為を行えば、著作者の公衆送信権が働きます。公衆向けであれば、無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。「公衆」とは相手が1人であっても、だれでも対象となるような、不特定多数に向けた送信であれば当てはまります。
出典:「著作権テキスト」(文化庁)
(https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/index.html)

あまりにも短いものや、ただ商品の機能・性能を書き記したもの等、すべてのレビューが著作物に該当するわけではありませんが、上記のポイントを踏まえつつ、購入者が想定できるような利用形態であるか、購入者の意に反した利用の仕方をしていないかという点にも留意することが必要です。

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利用規約にレビューに関する項目を盛り込む

T社長
T社長
その都度、許諾をもらわなくても、利用規約であらかじめ決めておくことができるんですね。
利用規約にレビューに関する項目を盛り込むことは可能ですが、それらの項目がきちんと機能するためには、利用規約の内容はもちろん、利用規約の設置方法にも気を付ける必要があります。解説していきます。
小野弁護士
小野弁護士

 

著作権の侵害にならないように安全にレビューを二次利用するためには、利用規約や注意事項にレビューに関する項目を盛り込む必要があります。利用規約とは、そのEC・通販サイトを利用するのであれば同意する必要があるものです。

利用規約の中で、レビュー利用の許諾に関して定めておき、利用者が当該利用規約に同意することにより、レビューの二次利用に同意した上で投稿しているとみなすことができるのです。注意事項に関しては、レビュー投稿時に確認できる場所に記載しておく必要があります。例えば、下記のような内容を記載することが考えられます。

レビューに関わる著作権(日本国著作権法第27条及び第28条所定の権利を含む。)等の一切の権利は当社に帰属します。また、利用者はレビューに関して、著作者人格権その他いかなる権利も行使しないものとします。

当社は、レビューの内容を、当該レビューを投稿した利用者に通知することなく、自由に転載、引用、開示、提供、出版、配信その他の方法により、無償で利用することができるものとし、利用者はこれに同意します。

レビューを表示するかどうか、その表示期間および当社による保管期間については、当社の裁量で定めることができるものとし、利用者はこれに異議を述べることができないものとします。

このように、規約の内容を明確にすると同時に、規約の設置方法にも気をつける必要があります。確実に利用規約や注意事項を見た上で投稿をしたと判断できるようにするためには、下記のような方法が挙げられます。

チェックボックスを設置するパターンが最も確実に同意を得たことになります。しかし、このような確認方法を間に挟むことで、面倒に感じてレビューの投稿自体を躊躇してしまい、レビュー数が減ってしまう可能性もありますので、工夫が必要です。

▶︎参考情報:ECサイトの利用規約作成については、下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
ECサイトの利用規約の作成方法とは?|知っておきたい注意点をECに強い弁護士が解説

レビューの二次利用のお悩み、リスク、課題は解決できます

T社長
T社長
今日はありがとうございました。ECサイトのレビューの二次利用について、少し理解が深まりました!教えていただいたポイントをしっかり踏まえながら、レビューを活用して広告活動を行っていきたいと思います。
はい、応援しています。今日の内容を実際に活用して、レビュー投稿者の著作権に配慮しつつ、ECサイトの集客力を高めていきましょう!
小野弁護士
小野弁護士

 

この記事では、ECサイトの運営を行う企業の皆さまが、商品の販売促進のために、購入者のレビューを利用する場合に、直面すると思われるお悩み、リスク、課題について、ヒントになる基本的な知識をお伝えしました。

これらの情報を、皆さまの会社にうまくあてはめて、一つずつ実行していくことで、貴社のお悩みや課題が解決し、貴社のサービスへのユーザーや社会の信頼が大きく増え、ビジネスが成功する未来が実現すると信じています。

しかも、頼りになる専門家と一緒に、解決できます!

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、多くの企業様へのご支援を通じて、EC事業における広告表示、広告運用についての専門的な法律の課題を解決してきた実績があります。

「助ネコ」の株式会社アクアリーフ様、「CROSS MALL」の株式会社アイル様など、著名なECシステム企業が多数、当法律事務所の顧問契約サービスを利用されています。

企業の皆様は、ビジネスのリスクは何なのか、リスクが発生する可能性はどれくらいあるのか、リスクを無くしたり減らしたりする方法はないのか、結局会社としてどうすれば良いのか、どの方法が一番オススメなのか、そこまで踏み込んだアドバイスを、弁護士に求めています。当法律事務所は、できない理由を探すのではなく、できる方法を考えます。クライアントのビジネスを加速させるために、知恵を絞り、責任をもってアドバイスをします。多数のEC企業様が、当事務所の、オンラインを活用したスピード感のあるサービスを活用されています。

当事務所にご依頼いただくことで、
「著作権の侵害となる具体的な行為を知ることができ、実際のECサイト運営に活用することができる。」
「法律を守ることが消費者の利益にもつながり、企業の信頼を守りながらECサイトを運営することができる。」
「リスク管理をしながらレビューの二次利用ができ、広告、集客をスムーズに行うことができるようになる。」
「ECビジネスを進めるにあたって直面する疑問や不安をスピーディーに解決でき、商品開発や仕入れ、販売促進活動に集中することができる。」

このようなメリットがあります。

顧問先企業様からは、
「研修を通じて、部署や担当を問わず、著作権についての従業員の理解が深まり、日頃の業務にも生かせるようになった。」
「分からないことや不安なことはすぐに相談ができ、一緒に解決策を考えてもらい、知識やアイデアの幅が広がった。」
「広告作成にあたって、適切にレビューを二次利用でき、集客にもつなげることができた。」
「ECビジネスに関する法律的なアドバイスだけでなく、ビジネス的な側面からのアドバイスももらえたので、前向きな気持ちで業務を進めてくことができた。」

このようなフィードバックをいただいております。

当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただきたく、「メールでスピード相談」をご提供しています。

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※本稿の記載内容は、2025年1月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

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