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越境EC

越境ECにおける関税戦略ガイド|国際市場での競争力を高めるためのポイント

はじめに

海外市場への進出は、今や日本企業にとって不可欠な戦略です。しかし、国境を越えるビジネスには多くの課題が潜んでいます。その中でも、関税に対する理解と適切な対応は極めて重要です。なぜなら、関税は貿易の鍵を握る要素であり、これを理解せずに進めると、企業の国際競争力や収益に直接影響します。
この記事では、越境ECにおける関税に焦点を当て、基本から各国の関税体系、日本の税制との関係性、さらには押さえるべきチェックポイントまで、詳しく解説します。正確な知識と戦略を持って、国際市場での成功を目指しましょう。

越境ECを行う際の関税に関する基礎知識

関税とは

「関税」という言葉を耳にしたことがある方も多いかと思います。これは海外進出を考える日本企業にとって、理解しておくべき極めて重要な仕組みとなります。関税とは、簡単に言えば国境を越える際に課せられる税金のことです。日本から他の国に製品を輸出する場合や、逆に海外から製品を輸入する場合、その製品には一定の関税がかかります。関税は税関によって徴収されます。それでは、なぜ関税が必要なのでしょうか?

関税の働き

関税は、国を守る盾のような役割を果たします。例えば、日本のお米や自動車は国の主要な産業として知られていますが、他の国からは同様の商品が安価に提供されています。このような国外からの競争に対抗し、国内産業を守るために関税が導入されています。具体的には、輸入品に関税が上乗せされると、関税の分だけ輸入品の価格が高くなります。その結果、国内の商品が価格競争力を持つことができます。関税は、外国からの安価な商品が日本市場に流入するのを防ぎ、国内産業の保護や雇用を支える役割を果たします。さらに、関税収入は国の財政にも貢献し、教育や医療、インフラ整備など、国民生活に欠かせない公共サービスの財源に活用されます。
つまり、関税はどの国においても重要な仕組みとして、一定のルールが定められており、海外市場で成功を収めるためには、関税の仕組みや影響を十分に理解することが欠かせません。

各国における関税

各国の関税は、国ごとに異なっており、その国の法律、国際的な協定や条約に基づいて設定されます。これらの関税は、輸入品や輸出品に課される税金であり、国内産業やサービスを保護し、貿易バランスを調整するために使用されます。各国の関税率や関税体系は異なり、輸出入業者はそれぞれの国の税制や関連する法規制を把握する必要があります。通常、関税率や関連情報は各国の税関や貿易省のウェブサイトで一覧でまとめられており、確認することができます。

国別の関税体系

アメリカ向けに製品を輸出する際にも、関税はかかります。アメリカの関税システムは、「一般税率」、「特別税率」、「法定税率」の3つに分かれます。日本からの輸入には一般税率が適用され、これはほとんどの国に適用されるものです。特別税率は、特定の開発途上国などのGSP(一般特恵制度)が適用される国や、FTA(自由貿易協定)などの特別な貿易取引がある国に対して適用される税率です。また、法定税率は元々、共産主義諸国向けの税率として設定されていたものですが、現在はキューバおよび北朝鮮向けの税率として適用されています。
関税は、商品の種類ごとによって異なり、商品の価値や数量に基づいて決まります。アメリカの関税率を調べるには、アメリカ国際貿易委員会のウェブサイト( https://hts.usitc.gov/current )で、対象商品のHTS(Harmonized Tariff Schedule)コード一覧を確認します。このコードを用いて、商品に対する関税率を調べることができます。

中国への輸出に関する関税体系は、大まかに「行郵税」と「越境EC総合税」の2つに分かれます。具体的には、「最恵国税率」、「暫定税率」、「協定税率」、「特恵税率」、「普通税率」の5つに分類されます。
最恵国税率はWTO加盟国や互恵協定を結んでいる国に適用され、暫定税率は最恵国税率が適用される国や地域の輸入品を対象に、暫定的に設定されます。協定税率は特定の国々との貿易や関税優遇協定に基づいて設定され、特恵税率は特殊な関税優遇協定を締結した国々に適用されます。普通税率はこれらに該当しない国々に適用されます。
行郵税は個人利用を目的とした荷物に課され、個人名義で中国に直接発送される際の輸入時に適用されます。一方、越境EC総合税は企業が中国保税倉庫を利用して荷物が発送される場合にかかります。この税は行郵税よりも低額ですが、利用条件が厳しい傾向があります。どちらの税金も商品の種類や価値に応じて適用され、免税や減税の対象となる場合もありますが、細かな税率や免税条件には注意が必要です。

シンガポールの関税は、「一般関税」と「特恵関税」の2種類があります。一般関税は輸入時に課される一般的な税金で、ビールなどのアルコールを除き、原則として無税です。特恵関税は、シンガポールとFTAを結んでいる国々が享受しますが、一般関税がアルコールを除いてそもそも原則無税なため、特恵関税のメリットは限られます。
ただし、シンガポール国内で消費される製品には、「物品税」がかかることに注意が必要です。つまり、シンガポール向け越境ECでは、関税がほとんど課されず、物品税が主に適用されます。

各国の関税率の確認方法

各国の関税率を確認するためには、まずは製品の「HSコード」が必要になってきます。HSコードとは、「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」に基づいて品目ごとに定められているコードで、「関税分類番号」とも呼ばれます。HSコードは6桁までは世界共通となっておりますが、6桁目より後の番号については、各国が国内法に基づいて統計細分等の番号を設定することができます。解釈の違い等により、同じ商品であっても輸入国・地域によって異なる分類がなされることがあるので注意が必要です。HSコードを正しく特定しないと正しい関税額を計算することができません。初めての品目を輸入する際は、税関の「関税分類の事前教示制度」を利用するなどして、事前にHSコードや関税率について確認するとよいでしょう。

詳細:税関公式サイト
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/index.htm#a

相手国の関税率を調べる方法として、主に以下の方法があります。

これらの方法を組み合わせて、各国の関税率を確認し、適切な戦略を立てることが重要です。

越境ECにおける日本の税との関係性

消費税の発生有無

越境ECにおける消費税の発生有無について考えていきましょう。通常、日本企業が海外に製品を輸出する場合、その製品が消費税の対象となるかどうかは、輸出先国の法律に依存します。一般的に、輸出取引においては日本国内での消費税はかかりません。ただし、輸出先国での消費税や関税が発生する可能性があります。
輸出先国の税制や規制を事前に調査し、適切な税金や手続きを把握しておくことが重要といえます。消費税の取り扱いについては、国際的な貿易ルールや各国の税制に詳しい専門家の助言を受けるとよいでしょう。

輸出免税とは

輸出免税は、日本企業が海外に製品を輸出する際に、消費税が免除される輸出取引のことを指します。一定の条件を満たすことで日本国内における消費税が免除されるます。これは、内国消費税である消費税は、外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。具体的には、以下のような取引が該当します。
(1)国内からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付け
(2)国内と国外との間の通信または郵便もしくは信書便
(3)非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡または貸付け
(4)非居住者に対する役務の提供
ただし、非居住者に対する役務の提供であっても、国内に所在する資産に係る運送や保管あるいは国内における飲食や宿泊のほか、これらに準ずるもので当該非居住者が国内において直接便益を享受するものについては免税とされる輸出取引にはならず、消費税が課されます。
なお、輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要です。輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書または輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要があります(国税庁,「No.6551 輸出取引の免税」, https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm  )。

免税の条件や手続きは厳格であり、関連する規則や法令を遵守することが求められますので、税務や輸出入に関する専門家のアドバイスを受けることで、スムーズな手続きを行うことが可能となるでしょう。

越境EC時における関税でチェックすべきポイント

ポイント① 各国の法規制を熟知する

越境ECを行う際には、各国の法規制を正確に把握することが不可欠です。輸出入に関する法律や規制、関税率など、貿易に関わる情報を十分に把握することで、法令遵守やトラブル回避につながります。特に、輸出先国の法律や税制に詳しい現地の専門家やコンサルタントと連携することで、現地での製品やサービスの迅速な販売につなげることができるでしょう。

ポイント② 各国の法改定に敏感に対応する

越境ECを行う企業は、各国の法改正にも敏感に対応する必要があります。貿易に関連する法律や税制は、今後も改正される可能性があります。したがって、定期的な情報収集やアップデートが欠かせません。法改正に気を配り、迅速に対応することで、法令に則ったビジネスの継続性を確保し、リスクを最小限に抑えることができます。

ポイント③ 消費者に関税の発生を明示する

越境ECを行う際には、関税がかかる可能性があることを消費者に明示することが重要です。関税やその他の関連費用が購入価格に含まれていない場合、消費者が意外な追加費用に直面することがあります。そのため、商品の販売ページや購入手続きの際に、関税が徴収されることを明確に表示することで、購入者との信頼関係を構築し、トラブルを回避することができます。また、関税の見積もりや詳細な情報を提供することも、消費者の満足度向上につながります。

海外進出・海外展開における影響

海外進出や海外展開には、様々な要因が影響します。その中でも、関税に関する理解や対応が不十分な場合、企業は高い関税負担や法的リスクに直面する可能性があります。例えば、関税の計算漏れや誤りがあれば、予想外の費用が発生し、企業の利益を圧迫するリスクがあります。
また、関税対応のスムーズさや正確さは、顧客満足度や企業の信頼性にも大きく影響します。関税によって発生する遅延や誤りは、消費者の信頼を損なうリスクがあります。例えば、輸入商品の価格が予想よりも高くなる場合、消費者が失望し、競合他社に流れる可能性があります。
海外進出を成功させるためには、関税に関する情報を適切に収集し、迅速な対応と戦略的な計画を立てることが欠かせません。例えば、各国ごとの関税体系や関税率を調査し、関税対応の専門家と協力することで、リスクを最小限に抑えることができます。さらに、関税の影響を考慮し、価格や貿易ルートを最適化することも重要です。

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執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

※本稿の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

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