知っておくべき消費者契約法! 抵触すると、契約を取り消される!?
近年、高齢者の認知能力の低下に付け込んで高額な商品を購入させたり、定期購入の契約を結ぼうとする悪徳商法が増加して社会問題となりました。
そのため消費者契約法が一部改正され、消費者は一定の要件を満たした場合、契約の取り消しや、消費者に不利な契約条項を無効化できるようになりました。
「利用規約に同意した顧客から、条項の一部が無効だと言われた」
「消費者契約法に抵触していると言われ、契約を取り消された」
このようなことにならないよう、消費者契約法をしっかりと把握しておく必要があります。
ビジネスでは当事者が対等の立場であり「契約自由の原則」によって、契約内容を自由に決めることができます。
しかし事業者と消費者では、商品やサービスに関する情報量や、交渉時の優位性に格差があり、圧倒的に事業者の方が有利になってしまいます。
そこで消費者の利益を守るため、事業者が消費者と契約するときに適用されるのが「消費者契約法」です。
この消費者契約法は、事業者との契約でトラブルが生じたときに消費者を救済する方法として、主に次の2つを定めています。
①事業者の一定の行為により消費者が誤認し、または困惑した場合等は、契約を取り消す事ができる。
②事業者の損害賠償の責任を免除する条項や、消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部または一部を無効にする。
つまり、消費者契約法に抵触する営業行為や契約の締結をすると、あとから契約が取り消されたり、契約条項が無効になる可能性があるのです。
そのため事業者は従業員に対して消費者契約法に関するセミナーや研修会を行い、法律違反にならないよう注意しながら、日々のビジネスを展開していかなければなりません。
たとえば「確実に儲かる」など断定的判断を用いた勧誘や、説明の際に消費者の不利益になる事実を伝えず都合の良いことのみ説明する、消費者から「帰ってくれ」といわれても帰らない、逆に消費者が「帰りたい」と言っているのに帰さない、といった行為をすると、消費者契約を取り消される可能性があります。
また、以下のように消費者にとって一方的に不利益になるような条項は無効になります。
「いかなる事由においても、当社は一切、損害賠償責任を負いません」
「予約を無断キャンセルした場合は、300万円の損害賠償金をいただきます」(ただし「300万円」が消費者にとって不当な金銭的負担になる場合)
「この利用規約に同意した者は、本社の許可なく本契約の解除および解約ができないものとする」
消費者契約法は社会情勢の影響を受けて変化するものであるため、定期的に弁護士に相談することをおすすめします。