アフィリエイト広告が法律に違反しないためのポイントを解説
目次
アフィリエイト広告が景品表示法違反とならないためには、気を付けるべきポイントがあります。
この記事では、アフィリエイターやメディア、広告主が注意すべき表示内容の適正化と規制対応の方法について、EC専門の弁護士が詳しく解説します。
アフィリエイト広告をめぐる問題とは?
まず、アフィリエイト広告とはどのようなものなのでしょうか?
健康食品を例に挙げれば、健康食品の販売会社以外の第三者が健康食品を広告するWEBサイトを運営し、販売会社の通販サイト等に誘導します。この第三者をアフィリエイターと呼び、アフィリエイターが運営するWEBサイトをアフィリエイトサイトと呼びます。アフィリエイターには、このアフィリエイトサイトを通じて発生した商品の売上に応じて報酬が支払われます。通常は、販売会社とアフィリエイターが直接契約することはなく、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(以下、ASP)が介在しています。販売会社がASPに費用を支払ってアフィリエイトサイトを通じた集客を依頼し、ASPに登録しているアフィリエイターがアフィリエイトサイトを運営します。
アフィリエイトサイトは販売会社が直接運営しているわけではないため、アフィリエイトサイトに問題のある記載があっても、販売会社が法的な責任を問われることは、従来はありませんでした。
措置命令で初めてアフィリエイトサイトに言及!?
ところが、最近の優良誤認表示を理由とした景品表示法に基づく措置命令において、初めてアフィリエイトサイトへの言及がなされました。措置命令においては、販売会社に優良誤認表示が行われていたことを周知しなければなりません。通常は、この一環として問題となった通販サイトに周知文が掲載されます。上記措置命令においては、それにとどまらず、アフィリエイトサイトからのハイパーリンクにより通販サイトに遷移する動線にも、周知文を掲載することとされました。
今後はアフィリエイトサイトに対する積極的な法執行も
上記の措置命令では、あくまで販売会社の通販サイトそのものに問題があり、直接的な処分の対象は当該通販サイトでした。しかし、今後はアフィリエイトサイトそのものを対象とした処分も考えられます。景品表示法においては、販売会社が自ら運営する通販サイトしか処分の対象にできません。しかし、健康増進法という法律では、アフィリエイトサイトそのものを処分の対象にすることも可能です。
これまでも行政側は、アフィリエイトサイトの問題点を度々指摘してきました。近い将来、アフィリエイトサイトそのものを対象とした処分が行われるようになることが考えられます。
アフィリエイト広告の法律と規制のポイント
アフィリエイト広告に関する法律と規制についてはいくつかの重要なポイントがあります。
景品表示法の適用
広告主はアフィリエイターやASPを通じた表現に対しても責任を問われることがあります。誤解を招くような表示を防ぐため、適正な表示内容を共有する体制の整備が必要です。
健康増進法の遵守
健康食品や医薬部外品の広告では、誇張表現や効果の断言が規制されています。広告主もアフィリエイターも法令をの内容を理解して、守っていく必要があります。必要に応じて、弁護士などの法律専門家に相談しましょう。
監視体制の強化
最近では行政が法律の執行を強化するようになっており、消費者庁などの行政のチェックは厳しくなっています。EC事業を行う企業は、今後、法令違反を防ぐための自主的なガイドラインの策定やアフィリエイトサイトのチェックがますます重要になるでしょう。
このようなポイントに気をつけながら、アフィリエイト広告を適法かつ適切に行うためには、広告主とアフィリエイターの情報共有や、表現についてお互いに注意して、記事の作成方法などを工夫しながら、違反にならないように業務を進めることが大切です。
景品表示法の改正について
2024年10月の改正景品表示法では、特にEC事業を行う企業に大きな影響を与える内容が盛り込まれました。この改正では、主に以下の3つのポイントが注目されています。
確約手続の導入
この改正では、新たに「確約手続」が導入されました。これは、企業が不当な表示や違反行為をした場合でも、すぐに罰則を科すのではなく、企業側が自主的に改善策を講じることで、措置命令や課徴金を回避できる制度です。この確約手続は、違反が疑われる段階で企業に是正計画を提出させ、消費者庁が認めた場合は、措置命令や課徴金納付命令などが行われない仕組みになっています。企業はこの制度を利用して早期に自社サイトの改善が可能になり、違反行為を自ら正すことで、処罰を受けることによるブランドイメージの低下のリスクを下げることができ、法律を守る経営にシフトしていくことができます。
課徴金制度の強化
課徴金制度にも大きな変更があり、売上額が不明確な場合でも推定売上をもとに課徴金を計算することが可能になりました。さらに、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた企業が再び違反行為をした場合には、課徴金率が1.5倍になる規定も設けられています。また、消費者に対して電子マネーでの返金が認められるなど、返金方法も柔軟になりました。
罰則の拡充(直罰規定)
優良誤認や有利誤認といった悪質な不当表示に対して、100万円以下の罰金を課す「直罰規定」が新たに導入されました。これは行政指導や措置命令を経ずに罰則が科されるもので、特に意図的な不当表示を行うような悪質な業者について、厳しく取り締まられるようになっています。
EC事業者にとって、商品説明や価格表示が誤解を与えないようチェックを徹底し、広告が不適切とならないようにすることが今まで以上に重要です。改正法の施行に伴い、自社のウェブサイト上の表示方法や広告の管理体制を再確認することが求められるでしょう。ウェブサイトの表示の仕方に不安があったり、広告の内容が適法化どうかなどについては、弁護士などの法律専門家に相談することも大切です。
アフィリエイト広告について、景品表示法で違法にならないための対応
アフィリエイト広告で景品表示法に違反しないためには、以下のような対応が重要です。
景品表示法を理解し、チームと共有する
広告主は、景品表示法のルールや不当表示のリスクについて十分な理解を持ち、アフィリエイターやASPと情報を共有することによって、自社の広告が違法になるリスクを下げていくことができます。
契約書での責任と保証の明記
広告主である企業がアフィリエイターやASPと契約する際に、景品表示法の遵守を保証する条項を含めることも、重要です。また、広告の内容の確認や、違反があった場合の損害賠償などについて規定を明記し、契約上も、法律的なリスクへのをしておくことをお勧めします。
法律専門家による事前の確認とアドバイス
自社の広告の表示内容が、景品表示法に適合しているかを確認するため、弁護士などの法律専門家に依頼するのも効果的です。特に新しいLPや広告を作成して展開していく際には、専門家のチェックを受けることでリスクの予防を強化することができます。
アフィリエイト広告のモニタリング体制を整える
定期的に広告を確認し、アフィリエイターやASPによって、問題となる表現がされていないか、チェックする体制を整えましょう。これにより、問題が発生する前に是正したり、迅速に対応できるようになります。
このような、さまざまな対応を通じて、アフィリエイト広告が景品表示法に違反するリスクを低減し、安全で信頼性の高い広告運用を目指していきましょう。実際に薬機法や景品表示法に基づく広告規制は厳しく、SNSを含むさまざまなメディアにおいても、関連する表示や条件の明示が求められます。企業の広告管理者の方は、リスクの高い広告の表現を社内ルールで禁止するなど、条件の明確化を行い、関係法令に基づいたチェックを徹底することで、法令違反を防ぎましょう。
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